むかし、かやのみこと申すみこおはしましけり。そのみこ、女をおぼしめして、いとかしこうめぐみつかうたまひけるを、人なまめきてありけるを、我のみと思ひけるを、又、人ききつけて、ふみやる。ほととぎすのかたをかきて、
ほととぎすながなくさとのあまたあれば
猶うとまれぬ思ふものから
といへり。この女、けしきをとりて、
名のみたつしでのたをさはけさぞなく
いほりあまたとうとまれぬれば
時はさ月になんありける。をとこ、返し、
いほりおほきしでのたをさは猶たのむ
わがすむさとにこゑしたえずは