伊勢物語 - 098

 昔、おほきおほいまうちぎみときこゆる、おはしけり。つかうまつるをとこ、なが月ばかりに、むめのつくりえだにきじをつけてたてまつるとて、
  わがたのむ君がためにとをる花は
   ときしもわかぬ物にぞ有りける
とよみて、たてまつりたりければ、いとかしこくをかしがり給ひて、使にろくたまへりけり。

伊勢物語 - 099