伊勢物語 - 104

 むかし、ことなることなくて、あまになれる人有りけり。かたちをやつしたれど、物やゆかしかりけむ、かものまつり見にいでたりけるを、をとこ、うたよみてやる。
  世をうみのあまとし人を見るからに
   めくはせよともたのまるるかな
これは、斎宮の物見たまひけるくるまに、かくきこえたりければ、見さして、かへり給ひにけりとなん。

伊勢物語 - 105