伊勢物語 - 008

 むかし、をとこ有りけり。京やすみうかりけん、あづまの方にゆきて、すみ所もとむとて、ともとする人、ひとりふたりしてゆきけり。しなののくに、あさまのたけに、けぶりのたつを見て、
  しなのなるあさまのたけにたつ煙
   をちこち人の見やはとがめぬ