伊勢物語 - 025

 むかし、をとこ有りけり。「あはじ」ともいはざりける女の、さすがなりけるがもとに、いひやりける。
  秋ののにささわけしあさの袖よりも
   あはでぬる夜ぞひぢまさりける
色ごのみなる女、返し、
  見るめなきわが身をうらとしらねばや
   かれなであまのあしたゆくくる

伊勢物語 - 026